「newneu. (ニューニュー)」創業者、鷲澤心介さんのインタビュー

インマイバッグインタビュー#16は、アートピースを使って自由にカスタマイズできるバッグブランド「newneu. (ニューニュー)」の創業者、鷲澤心介さんに今後のビジネス展開をお聞きするとともに、バッグの中身を拝見させていただきました!

鷲澤さん:以下鷲澤、インマイバッグ:以下IMB

IMB
newneu.が生まれたきっかけはどんな感じだったのでしょう?
鷲澤
もともと2003年頃から幼なじみとアパレルのセレクトショップ「SAL」を高円寺で始めて、その時からショップオリジナルのTシャツなどは販売していたんですね。しかし、オリジナルのブランドを一つの会社としてやって行くにはまだまだ弱いなと感じていた時に、「リユースできるカバン」というキーワードが頭に浮かびました。
IMB
リユースできるカバンですか?
鷲澤
はい、カバンを買って、飽きてしまったら買い変えるというのではなく、そのカバンを自らデザインし直して使えれば良いなという発想ですね。ベースはマジックテープ(ベロクロ)の片側の素材で作り、そこにワッペン(newneu.ではアートピースと呼んでいる)を貼り付ける事でカバンのイメージを変える事ができる、そんなカバンを作りたいと思ったんです。
IMB
マジックテープという発想がとても面白いですね!
鷲澤
「2001年宇宙の旅」という映画を見てから、宇宙に興味を持つようになりました、宇宙ではジッパーやボタンなどが使いにくいと聞いていましたが、マジックテープは宇宙でも非常に使いやすいという事もヒントになり、スペースバッグというイメージで最初は考えていたんです。2007年に初めてリリースしたnewneu.のバッグ3タイプも「モノリスライン」と言いまして、「モノリス」というのは「2001年宇宙の旅」の中にでてくる大きな黒い石板の名前なんですが、それをイメージしてバッグのフォルムをデザインしました。
IMB
特許をお持ちとの事ですが?
鷲澤
はい、アイデアが生まれてすぐに特許を申請しました。「ワッペンとの組み合わせを、パーツの一部としてバッグの面で使う」というアイデア自体を特許申請しました。特許を申請する事も大変でしたが、おかげさまで2年前に取得をする事ができました。
IMB
アイデアが生まれてすぐに特許申請というのは、初めてのリリースまでは苦労はありませんでしたか?
鷲澤
バッグを作るのは初めてだったので、とても大変でしたね。最初はスニーカーで使うような起毛のある、「フック」と「ループ」でできたいわゆるマジックテープ(ベロクロ)を使い作ってみました。しかし完成したものは非常に不格好で、ワッペンを剥がしたりしていると毛羽立ってきたり、熱を持って生地が縮んでしまったり等、実際に作ってみる事で様々な問題が見えてきたんです。
その問題を解決する為に、新しくイメージに沿う様な生地を再度探さなくてはなりませんでした。それから、生地の補強の為に、様々なボンディングを試したり、その素材の硬度や厚みを変えたりと、とにかく何度も色んな事を試しました。サンプルを作るにも自社工場ではないので、時間とお金もかかりましたが、なんとか自分の納得できるカバンを作る事ができるようになりました。モノリスラインを出した後も追求を重ねて、3年程前に生地も落ち着いて、良い職人さんと巡り会う事もでき、今まで以上に納得できる物が作れるようになりました。
IMB
職人さんは国内で作られているのですか?
鷲澤
そうですね。一部の海外のパーツもありますが、Made in Japan ですね。
newneu.はファスナーも職人さんの手磨きのものを使っていたり、見た目は全て同じベルクロ生地に見えますが、実際は数種類のボンディングを使い分けていたりします。生地厚や硬さの問題で、最初は縫製する際にうまく織り込めず、僕が求めるシャープな仕上がりを出そうとすると、技術的に難しかったのですが、職人さんと何度も膝を突合わせて議論をして、今は、直接工場と取引をさせて頂く事ができ、安定した生産ができるようになりました。
IMB
最初にリリースした時の手応えはどうでしたか?
鷲澤
最初はアートピースを天野タケル氏にデザインしてもらいリリースしました。彼のデザインはとても美しくnewneu.の最初のリリースには、一緒にやりたいと思っていたので、実現できた事はお互いにとってとても意味のある事だと思ってます。今回のコレクションでも、カモフラージュのワッペンをデザインしてもらいました。
リリース後の反響も想像以上に良く、2007年のグッドデザイン賞にも選んで頂きました。グッドデザイン賞の選考時も、過去に例がない形での受賞でした。通常は一つの完成されたプロダクトに与えられるのですが、newneu.は「モノリスライン」という3種類の黒いカバンの前にアートピースを並べて、完成させるのは購入者自身というコンセプトだったので、選考時に審査委員の間で審議になったそうですが、最終的に「モノリスライン」として受賞させて頂きました。
IMB
全てにおいて新しいですね(笑)
鷲澤
(笑)たまたまかもしれませんが、新しいプロダクトを世に送り出したいという強い気持ちは当初からありましたので、素直に嬉しかったのを覚えています。その後、PR会社 STEADY STUDY の吉田 瑞代さんに声をかけて頂き、打ち出していくイメージを明確にする事ができました。
それまで、newneu.は使っている生地や「モノリスライン」の中にメッセンジャーバッグなどがあった事で、ストリートっぽい男の子な印象だったのかなと思います。吉田さんとの出会いの後、「Numero TOKYO」など海外モードを扱う様な雑誌に掲載して頂く事が出来てから、女の子にかわいいというキーワードで楽しんで貰うという方向性も見えて来て、良い感じでシフトして行く事ができました。
僕自身はモードの世界観が好きなので、そこを意識して緊張感を肌で感じながら仕事をさせて頂く事ができ、非常に良い流れになってきていると感じております。
IMB
今後の展開などについてお聞かせください。
鷲澤
はい、今年の秋口にパリのLe Bon Marche(ボン・マルシェ百貨店)で2ヶ月の間、日本の「衣・食・住」において優れたプロダクトやアートなどを展示するという事で、昨年、パリから沢山のキュレーターの方が来日し、日本のプロダクトやアートなどを視察に来ていたそうです。(昨年はブラジルの衣・食・住)その中でnewneu.も選んで頂く事ができました。今後の海外展開への足がかりになればと思っております。
8月にはインターナショナルギャラリーBEAMSでnewneu.のポップアップストアをやらせて頂く予定で、その後常設させて頂く事が決まりました。

同じ頃に、青山に1980年からあるアート書籍や洋書を扱うショップ『オン・サンデーズ』の2015年のポケットダイアリーにも生地提供という形でコラボレーションさせて頂きます。
新宿の伊勢丹では今までも一緒にやらせて頂いていますが、更に力を入れてやっていきたいと考えています。
ボンマルシェをはじめ、今年は海外からのお話しも複数頂いており、世界中の人々に楽しんで貰える仕組みだと思うので、日本だけでなくグローバルにnewneu.の想いが伝われば嬉しいです。
IMB
今後のご活躍も楽しみにしております。それではバッグの中身を拝見させて頂けますか?
鷲澤
はい、僕黒が好きなんで黒いものしかありませんが大丈夫ですか?
IMB
本当に真っ黒ですね(笑)
鷲澤
(笑)よく言われます。
IMB
黒いアイテムが多いので、黒以外のアイテムで気になるこのサングラスはレイバンのヴィンテージですか?
鷲澤
 僕のお爺ちゃんが使っていたレイバンです。40年程前のモノで、当時はボシュロムという今ではコンタクトレンズで有名な会社が作っていたんです。かけて頂くとわかるのですが、見た目はサングラスなので黒いレンズなんですが、かけると以外にクリアに見えて夜でも問題なくかけられる、とても良いレンズを使っているんですよ。
IMB
あっ、本当ですね。これなら夜にかけても見づらくないかもしれません。良いレンズという感じがしますね。
鷲澤
あと、これは大切な方に頂いた物なのですが、この『Valextra(バレクストラ)』のケースも気に入ってます。財布の代わりとしてカードや貴重品なども入るので重宝して使っていますね。
IMB
バレクストラの製品は歴史があって、作りも素晴らしいですよね?
鷲澤
そうですね、見た目はもちろん、製法としても美しく、色々と参考になる部分が多いですね。
IMB
この黒いモノが気になるのですが?
鷲澤
これは、名刺ケースになります。素材と形が面白いので気に入ってますね。弊社とお付き合いのある『BIRTHDAY BAR』で購入しました。
IMB
スキンケア系のものも沢山お持ちなんですね?
鷲澤
そうですね、結構好きで、Santa Maria Novella(サンタ・マリア・ノヴェッラ)という世界最古の薬局が作っているボディクリームやリップクリームで、気に入って使ってますね。ベビー用なので肌に優しいですしね。
IMB
こちらはなんですか?
鷲澤
 VICTORINOX(ビクトリノックス)のツールです。ハサミとか色々なツールが一枚のカード状に収まっているので、持ち運びも楽ですし、何かあった時に便利ですよ。結構有名な商品なので、エルメスからこの商品専用のレザーケースなども販売されていました。
IMB
では定番の商品なんですね、こういった長く使える便利なものって男心をくすぐって欲しくなってきますね。本日はありがとうございました。
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